私たちは、今まで音楽に興味を持たなかった、あるいは興味を持つ時間がなかった経済・実業界で現在マネジメントに携わる方、また、望むと望まざるとに関わらず、これから各界でリーダーとなってゆく方々にこそ、Boston School of MusicTMで音楽理論を学んでいただきたいと考えております。
それには理由があります。今日の組織マネジメントについて考えたとき、ジャズバンドほど手本となる創造的な機知に富んだチームは他に例を見ないからです。しかしながら、音楽に関して今日までは「才能」という非論理的な言葉が古い権威のスケープゴートとされ、音楽を理解する人間と理解しない人間、楽器を弾ける人間と弾けない人間という区別がなされてしまい、音楽と音楽演奏本来の価値を分かりにくくしてきました。
Boston School of MusicTMでは、音楽の芸術的な側面だけでなく、今まで語られることのなかった「音楽演奏におけるコミュニケーションの社会性」に注目し、抽象的で測定不能な「才能」や「感性」などに頼らない最もシンプルかつ論理的な演奏方法の理論、Standard Theory®の中で、音楽理論の構造とそれを用いたコミュニケーションの有用性を、全ての経営・管理者の方々にお伝えしたいと思います。
Standard Theory®を楽しみながら学ぶ中に、楽器演奏という今までにない価値観を共有できるようになり、皆様の組織内に即応用可能なたくさんのコミュニケーション方法、イノベーションのアイデアを数多く発見していただけると思います。Boston School of MusicTMでは、私たちが明日を生きるリーダーに必要な能力だと考える、
の4つの能力を自然に身につけ、大きく育てていただける示唆に溢れるスクールとなっております。
近年では、チーム制を採用する企業や組織が一般的になってきました。
様々な理由が考えられますが、顧客を最優先する視点から考えますと、現代の買い手は受け身の立場でなくより洗練されており、より多くの選択肢とより多くの要望を持っていますので、今までのような堅固な組織ではその一つ一つに対応できなくなってきていると分析できます。所謂ロングテール現象です。これは携帯電話、インターネットなどの有線・無線コミュニケーションに代表される新技術の普及と、それによってもたらされたグローバル化が原因です。
<ジャズバンドの特徴>

ジャズバンドには同じ専門領域の人材がいません。オーケストラではバイオリン、チェロ、打楽器などそれぞれの部門に同じ仕事を担当する人材が複数名いますが、ジャズバンドには各部門1名ずつです。それでいて、メンバーは互いに専門領域が重なることなく、リズム、メロディー、ハーモニーという音楽の必要要素全てを網羅します。しかも、ジャズバンドの人材は、指揮者の指示を待つのではなく常に自分から発信します。
音楽理論という共通の理念をベクトルとして、全員が同時にまっ白なキャンパスに自らの意志でアイデアを描き、それぞれが自分の専門領域を追求することで全体の調和をとり、一つの作品(仕事)を完成させるのです。向かい合う仕事に対して、専門領域が互いに重ならずかつ全てを網羅する最少人数のチームこそ、情報化された世界で適存する組織です。

ジャズバンドを構成することにおいて、互いが自分の分野(楽器)の専門家である限り、人種・性別・年齢・言語など考え得る全ての属性は意味を為しません。また、プロスポーツと違い勝敗がありませんので、クライアント(観客)を満足させるという目的において、完全にチームが一つになっています。そして、満足させるためにメンバー全員が自分の専門性を研究・改善し続けることのみが、ジャズバンドという組織でいられる唯一の要因でありますので、必然的にチームもメンバーに最低条件としてその姿勢を求めると同時に、メンバーもチームに対して、自らを改善し続けるために高いレベルのチャレンジを要求せざるを得ません。
歴史的なサックス奏者、ジョン・コルトレーンが自己のグループで体現したように、「専門性はachive(入手)するものでなくimprove(改善)していくもの」という、「改善の連続で成り立つストイックな実力主義組織」がジャズバンドの本質なのです。ライブ演奏でリアルタイムに観客(クライアント)と接している状況を客観的に考察しますと、ジャズバンドは権限と責任が極めて明確になっている組織だとも言えます。
ジャズバンドはお互いの演奏に影響し合い、音でコミュニケーションしているからこそ観客(クライアント)と向き合う組織でいられます。コミュニケーションをやめた瞬間に、チームとして集まった意味を失ってしまうのです。クラシックを緻密に計算された建築的芸術と言うならば、ジャズは必要なときに必要な情報(音)を与え合い、お互いの情報(音)の価値を高めていくという、言わば「タイミングの芸術」です。反面、タイミングを逃した情報(音)は無駄なだけでなく、他のメンバーの演奏(仕事)を邪魔して、チームの目的完遂の障害にすらなるのです。このことをあなたの組織内のコミュニケーションに置き換えてみるだけでも大変価値があると思います。
例えば、テンポを先走って進もうとするギター(情報不足の営業マン)を、ドラム(管理者)はリズムに変化(営業タイミングの助言)をつけることでブレーキをかけることができます。しかも、ジャズバンドの演奏コミュニケーション、例えば今の様なドラム(管理者)の発信は、「命令」ではなくて、常に相手を尊重した上での「アドバイス」なのです。そうでないと演奏(仕事)が聞き手(クライアント)にとって気持ちよく流れていかないからです。
ところで英語では、ジャズバンドなどのチームについて日本語のようにA team formed by players(メンバーで構成されたチーム)とは言わずにA team consist of players(メンバーを含むチーム)と言います。コミュニケーションの結びつきがより強いのです。対等にアドバイスし合えるこのチームイメージの中で、密度の高いコミュニケーションを重ねることが、最高の仕事を為す近道であり、ジャズバンドはそのチームイメージを最もわかりやすく体現しています。

さて、チームをマネジメントしようとするとき、どんな方法が考えられるでしょうか?
例えば、一人のリーダーと二人のサブリーダーに数名のメンバーがいるチームを構成したとします。これは規模こそ小さくなったものの、そこにはヒエラルキーが存在し、結局のところ「堅固な」組織であることに変わりはありません。組織の規模と柔軟性は別のものです。これは音楽に例えるならば、フルオーケストラが小規模な室内楽団になったに過ぎず、人数は少なくなっても一旦定めた計画通り動き出すと(譜面通り演奏し始めると)、昨今の細分化された状況の変化にいちいち対応することが難しいのです。
21世紀、既に消費者は大衆から個へと劇的な変化を遂げました。そして、社会が革新するスピードは情報量に比例して日に日に増してきています。私たちはこのような変革の社会状況の中に、1950年代から1960年代にかけて完成された、自らで自らを強力にマネジメントしていくジャズバンドという組織構造のチーム力、構成力、機動力、イノベーション力の重要性を発見するのです。
ジャズバンドの活動をビジネス用語に置き換えるならば、プロジェクト(曲)の始まり(イントロ)と終わり(エンディング)に関して全員の認識をはっきりさせ、過去のケーススタディ(名演奏)を研究し、その中から状況(コード進行)に応じたベストプラクティス(名演奏家のフレーズ)をじっくり検証し、組み合わせることによってそれぞれの頭の中で起こる体系化されたアイデア(即興フレーズ)をクライアント(観客)にわかりやすく伝えるために構造化していき(ソロの起承転結構成)、時には経験不足のメンバーをコーチング(ガイドトーン)し、イノベーション(即興演奏のクライマックス)の瞬間を追い求め、クライアント(観客)満足のため全員がその瞬間を全力で取り組む(演奏する)という活動に他ならないのです。
ジャズバンドの即興演奏、所謂ジャムセッションには、あらゆる組織をマネジメントするリーダーに必要な、コミュニケーションの中で「自分が新しいアイデアを考える」のではなく、「メンバーが素晴らしいアイデアを考えつくのを手伝う」という利他の理念と示唆に溢れています。
コミュニケーションの不足でビジネス本来の目的を見失うことは、価値創造や生産性向上の大きな妨げとなります。ぜひとも、経済・実業界で現在マネジメントに携わる方、これから各界でリーダーとなってゆく学習意欲に溢れる方々に、このBoston School of MusicTMで楽器演奏について学んでいただき、基礎となる理論、Standard Theory®の中に含蓄された、スピードと柔軟性を兼ね備えたチームの編成と育成、コミュニケーションのアイデアを見つけ出して頂きたいと思います。
Boston School of MusicTM
設立委員会